ヒューストン美術館「For a New World to Come: Experiments in Art And PHotography, 1968-1979 Japan『来るべき世界の為に:1968-1979年における日本美術 写真における 実験』展カタログに掲載されるエッセイの英文翻訳への助成
2015年3月8日から7月12日にアメリカのヒューストン美術館(The Museum of Fine Arts, Houston)にて「For a New World to Come: Experiments in Art and Photography, 1968 – 1979 Japan『来るべき世界の為に:1968 – 1979年における日本美術 写真における実験』」展が開催
される。
この展覧会では、1960年代末から1970年代末の日本に焦点を当て、日本の現代美術における写真がどのように確立されていったのかが紹介される。
この時期の日本では、東京オリンピック開催、日本万国博覧会開催、沖縄返還など、重要な社会問題について多くの議論がうまれ社会運動が繰り広げられた。また、1955年から1973年の高度経済成長期にはとどまることを知らなかった日本の経済成長は、1973年以降、オイル・ショックにより急速に衰退していく。それは、人びとの意識の変化をもたらし、それまでの既成価値を破壊し、再検討していくきっかけとなった。
これらの時代背景の中、写真を用いた実験的な試みを行い、実践の中で新たな可能性、方向性を見いだしていった日本の26名の作家、写真家(東松照明、野村仁、榎倉康二、大辻清司、森山大道など)の作品が展示される。また、同時代の世界的な思想と美術における潮流、主にコンセプチュアリズムの中で写真の果たした役割についても紹介される。
展覧会は写真作品、インスタレーション、フィルムなど300点余の作品から構成され、その多くが東京国立近代美術館、東京都写真美術館などの美術館、東京工芸大学、武蔵野美術大学などの大学アーカイヴ、東京及びニューヨークの画廊、作家や個人コレクターからの貸し出しとなり、これらの作品は北米の美術館において初の公開となるだろう。
展覧会に際して制作される展覧会カタログには、出品作品の他、担当学芸員及び日米の大学、美術館で活躍する日本美術、映画、写真研究家によるエッセイや論考が収録される。JCRIでは、カタログに掲載されるこれらの日本語エッセイや論考の英文翻訳に対して助成を行った。出版はヒューストン美術館及びYale University Press(イェール大学出版局)から共同刊行され、世界中に配本予定である。