NPO 法人アート&ソサイエティ研究センターによるイベント「SEA(Socially Engaged Art)アイディア・マラソン」の 記録集の制作とテキストの英文翻訳への助成
JCRIでは、NPO法人アート&ソサイエティ研究センターによるイベント「SEA(Socially Engaged Art)アイディア・マラソン」の記録集の制作とテキストの英文翻訳への助成を実施した。
Socially Engaged Artとは、1990年代初頭から拡大してきた、社会に関わり、人々の日常に変化を与えようとするアーティストたちの活動を総称しており、美術や演劇、音楽、パフォーマンスなどの表現を通して、福祉、教育、環境、人権、政治など実際の政治や社会を変革しようとする新たな表現形式である。近年、日本でもアートを活用して地域活性化につなげようとする事業が増加している。しかしこれらの活動は包括的にアート・プロジェクトとして認知され始めているが、現実社会の問題解決に深く関わろうとする活動というよりは、まちおこしや観光を目的としたプロジェクトが主流である。加えて、日本では、海外のアート・プロジェクトをまとめて紹介する機会や国内外のプロジェクトをあわせて分析する機会がない状況が続いてきた。
NPO法人アート&ソサイエティ研究センターは、海外と日本のSocially Engaged Artを紹介するために三つの企画を設けた。まず初めに海外のSocially Engaged Artを紹介する試みとしてCreative Time(ニューヨーク市を拠点として過去40年にわたって、社会と関わる
アート活動をプロデュースしてきたNPO)が2011年にニューヨークで開催した展覧会「リビング・アズ・フォーム」の巡回展として、「リビング・アズ・フォーム(ノマディック・バージョン) ソーシャリー・エンゲイジド・アートという潮流」を開催し、海外の11のプロジェクトを展示と映像で紹介した。次に、社会問題を積極的に取り上げ、社会を変えていこうという海外の事例に対して日本ではどのようなSocially Engaged Artが求められ、どのように実践していくべきか、地域の具体的課題や社会問題に取り組もうとしているアート・プロジェクトを公募し、発表、議論するイベント、「SEA (Socially Engaged Art)アイディア・マラソン」が開催された。14組の応募者が発表し、イベント終了後には講評が行われ、2組のプロジェクトが準グランプリとして選定された。そしてイベント終了後には、プレゼンテーションと講評を掲載した記録集の制作が行われた。一部テキストは英文翻訳され、国内外へ日本のSocially Engaged Artを紹介する機会となった。「SEAアイディア・マラソン」で行われた14組の発表の詳細は、記録集を参照のこと。(記録集についてはNPO法人アート&ソサイエティ
研究センターまでお問い合わせください。)